猛進ばんきち兵団!

ーこれは、疾風怒濤ポケモンバカの七転八倒劇ー

小説第46話

〜前回までのあらすじ〜
赤い怒りの爪が、さくらに迫る!
 
第46話
イーブイの目にも涙」
 
バオッキーの爪が目前まで迫り、
私はギュッと目を瞑り、ダメージを覚悟した。
 
ガッ…
…?硬いもの同士がぶつかった時のような鈍い音が響いた。
目を開くと、コトマさんが腕でバオッキーの連続攻撃を弾いていた!
インファイトしてるかの様な素早い腕の動きは幾つもの残像を作って、
まるで何本も腕があるかの様。
スピードは乱れ引っ掻きを上回り、強い一撃で再びバオッキーをぶっ飛ばした。
「ギャアアアアッ!!」
 
「さくら、今の内に退け」
「ぶ、ぶい(は、はい」
今のままではただ彼の迷惑になってしまう…
素直に私はその場を離れた。
 
まだ…私は未熟。少し勝ってきたからって、あんな強いポケモンにはかなわない…
でも、でも…
助けたい、コトマさんの助けになりたいのに……!
気がつくと泣きそうになっていて、堪えようとしたら体がグッと固まってしまった。
 
涙を流して狭い通りを抜けようとした時、
大きな音を立てて木材の破片が落下してきた!
俯いて歩いていた私は反応が遅れてしまい、今度こそ直撃を覚悟し、
頭を抱えてしゃがみこんだ。
「ケローガー!水鉄砲!」
「ゲェコッ!」
 
一瞬、ポケモンに技を指示する、どこかで聞いたような声が…?
 
目を開けると私の頭上を太い水柱が勢いよく走り抜けていた。
落下した木材は消火され、一安心…。
 
「あ、お前コトマん家のチビやん。」
目の前にいたのは、前に立ち寄ったショップの店員の…エイト君!
 
彼はゲコガシラを連れていたようで、引き続き消火活動に当たっている。
 
「なんや泣いとるやん、どした?」
私は慌てて涙を拭ってエイト君に向こうから来たことをジェスチャーした。
 
彼のパートナーであるケローガー君の方がいち早く察知して、
建物の壁を蹴りながら行ってしまった。流石忍者素早い
Σ(・Д・) ≡┏(¬―¬)┛ギュンッ
 
「早よ行くで、店まで燃やされたらたまらん!」
しかし運動能力が低いのか、私よりエイト君の方が遅れて来ていた。
 
先程の場所に戻ると、ケローガー君が加勢していて、バオッキーと有利に戦っていた。
コトマさんが接近戦を仕掛け、後方からケローガー君の援護射撃が入る形で、スキが無い。
私も別方向から援護する!…と意気込んだけれど、自分の技はメロメロ、電光石火、あと……ダメだ今使っても大して効果を発揮しない補助技くらい。
イーブイって遠距離技無いのかな…
何か覚えそうなもの…!
ノーマルタイプができる簡単な遠距離技…そうだ破壊光線なんてムリムリ
 
スピードスターならイーブイも覚えたハズ!
ただ、イーブイが使っていたのを実際に見たことが無いので、浅い記憶と直感で完成させることになる。
イメージ集中して…!
 
星を…自分の回りに浮かべるような…
ただ、私が技を放つ情景が浮かんでも簡単にはいかない。
 
ただ棒立ちしてるだけで的になっていることを忘れ、
こちらに気付いたバオッキーが大きな火の玉を飛ばしてきた!
 
後方支援に回っていたケローガー君が呆れ顔で私を回収し、
火の及ぶ範囲から離れてしまった。
もし私がスピードスターを成功させても届くか、効くか怪しい範囲までひとっ飛び。
 
「ご、ごめんなさい…」
 
「問題無い。それに、もう決着もつくところだ…」
 
コトマさんの方を見ると、腕が青白い炎に包まれているように見えた。
遠くからなのに何となく伝わる…
あれは相手の技を受けて炎が上がっているんじゃなくて、自らが放っていると!
ますます謎が深まるコトマさん…
 
炎はやがて一点に集まり、球状の光と化した。
「久々にコレを使うな…喰らえぇッ!!」
思いっきり振りかぶり、強く正面に突き出した拳から、
先程の光の球が一回り大きくなって弾丸の如く直進して行った。
 
「うぎぃあああああああ…!!」
直撃したバオッキーは悲鳴と共に見えなくなる彼方まで吹き飛んで行った。
 
ほぇぇ…!勝った安心以上に、コトマさんの力にあっけにとられ、体が静止してしまった。
 
こちらの場所に気付いたコトマさんはそのまま歩いて来るけど
何だか不機嫌…いや、怒ってる!?
 
47話に続く
 
あとがき
コトマさんは人間としてはまだまだ未知数の力を持ったチートキャラですw
彼は一体何と戦い生きてきたのか…
 
そしてさくらちゃん悔しくて泣いてしまいました次回また泣きます((
 
年内50話はだいぶ怪しくなってきた…
というか無理そうw
バイトやら課題やら…
でも今の所つまづくことなく進められてホント良かったです。
3年目も頑張るぞー